優秀賞 捨てられない思い出 (蛇田江李)
私がまだ小さかった頃、バーベキューのお供に必ず持って行ったのがこの椅子だ。でも父が新しい椅子を買ってきてからは全く使われなくなっていた。私が小学校5年生のとき、この椅子がしまわれていた車庫を建て直すことになり、車庫を片付けていた母は他のいらない物と一緒にこの椅子も捨ててしまった。捨てられたこの椅子がなぜまだあるのかというと、ゴミ置き場に捨てられているのを通学途中に偶然見つけた私は、この椅子が可愛そうに思えて、遅刻覚悟でそれを抱えて再び家に持って帰ったからだ。思い出がたくさん詰まったこの椅子は、今一人暮らしの私の部屋にある。バーベキューのときみたいに久しぶりに砂利の上に置いて懐かしさを噛み締める私であった。






