6月になると、あちこちで「蛍鑑賞の夕べ」などが開かれますよね。はかなく光る蛍には、昔から人の心を動かす何かがありますね。
今日、ご紹介の俳句は

ゆるやかに着てひとと会う蛍の夜 桂信子

ゆるやかに着て、という言葉が、とても光っている一句だと思います。これは、やはり和装なのでしょう。着物って、日頃着付けない人には、帯をぎゅうぎゅう締めて窮屈なもの、というイメージがありますが、昔の写真などを見ると、日常着として着物を着ているときには、そんなにきちっとした着方はしていなかったようです。気の置けない人、一緒にいてくつろげる人と蛍狩りに行こうとしているところでしょうか。蒸し暑い季節だし、夜だし、ゆるく着付けて出かけましょうと、女性ならではの視点で詠まれています。どこか、自分をきれいに見せようというナルシズムも感じられますので、相手は恋人なのかもしれません。蛍の舞う夜の、ひとときの高揚感と、切なさ。静かなドラマが感じられる俳句ですね。