6月は梅雨のシーズン。昨日は梅雨入りの俳句をご紹介しましたが、今日は梅雨のさなかの俳句をご紹介します。

坂一つ間違へ梅雨の狸穴に 山口青邨

坂一つ間違えたり、道一つ間違えたりして、思いがけないところへ出てしまったという経験は、皆さんもお持ちではないでしょうか。この俳句の作者は、狸穴に出てしまいました。狸穴は、麻布のロシア大使館わきの坂ですが、狸の穴、という字を充てるからには、その昔は狸が出てくるような場所だったのでしょうか。雨は、別に狸穴だけでなく、あたり一帯に降っているのですが、坂を間違えてしまった自分、梅雨の中、目的地を探している自分が、まるで狸のせいでそうなってしまったみたいで、おかしみを感じさせます。雨に濡れやれやれ、と思っている人間、穴倉でぬくぬくとしている狸、そんな想像をしてみるのも楽しいですね。