キッチンに居るのが当り前の様な顔をして鎮座しているのは、直径三十cmのケヤキの茶びつです。結婚一年目の主人からのプレゼントでした。木目がきれいに出ていて、艶やかで、何んとも言えない暖かみのある形の茶びつです。家族のお気に入りの湯飲み茶碗が所狭しと収まっています。あれから三十四年間、一日も休まず、毎日、毎食のたびに湯飲み茶碗が出たり入ったり。その間に祖父が亡くなり、子供が増え、湯飲み茶碗の数や形は何回も変ったりしましたが、今も艶々と輝いてくれています。プレゼントをくれた主人も定年を迎えます。御苦労様でした。そして家族の一人として頑張ってくれた茶びつに有難う。
本橋 洋子